その結果と共に、社員教育について掘り下げてみましょう。
こんな人に役立つ記事です。
- 新入社員をうまく育てたい
- Z世代の気持ちを知りたい
- 今どきの理想の上司像を知りたい
【2022年度版】新入社員が上司・先輩・会社に求めるもの
1)新入社員が理想とする上司や先輩は、『丁寧に指導する人』が7割!
2022年度新入社員意識調査として、調査された結果をご紹介します。
1位:仕事について丁寧な指導をする上司・先輩(71.7%)
2位:言動が一致している上司・先輩(36.7%)
3位:仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩(29.4%)
4位:部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩(28.6%)
5位:仕事だけでなく、プライベートも大事にする上司・先輩(26.6%)
出典:2022年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)/詳しい結果は、こちらから
理想の上司・先輩は、「仕事について丁寧な指導する人」が 1 位でした。 2012年から実施されている本調査では、初めての1位とのこと。ちなみに、調査開始時にランキングが高かったのは、「場合によっては叱ってくれる上司・先輩」、「仕事の結果に対する情熱を持っている上司・先輩」で、こちらは大幅にダウンしています。
2)新入社員の一番の不安は、『上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか』
次に、仕事をしていく上での不安について尋ねた調査をご紹介します。
1位:上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか(64.6%)
2位:仕事に対する現在の自分の能力・スキル(53.4%)
3位:仕事での失敗やミス(39.3%)
4位:ビジネスマナーや常識(31.7%)
5位:生活リズムの変化についていけるかどうか(20.0%)
出典:2022年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)
仕事をしていく上での不安は、「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」という人間関係の懸念が、1位となりま
した。2位は、「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」ですが、この2点は、 3年前の調査から20ポイント以上、大幅に高まっています。なお、社外に対する人脈作りに対する不安は年々減っています。
3)上司や人事への期待は、『成長や力量に対する定期的なフィードバック』が6割
次に、意欲や能力を高めるための上司や人事への期待を尋ねた調査をご紹介します。
1位:成長や力量に対する定期的なフィードバック(61.8%)
2位:ワークライフバランスをとれる柔軟な働き方ができる環境づくり(51.0%)
3位:キャリアや価値観・強み/弱みについての定期的な話し合い(46.8%)
4位:20代が安心して働ける、見通しのよい制度・職場づくり(44.4%)
5位:キャリアについての定期的なフォロー(36.5%)
6位:能力開発の意欲に応じて研修受講が可能な環境づくり(22.8%)
出典:2022年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)
自身の意欲や能力を高めるために上司や人事へ期待することは、「成長や力量に対する定期的なフィードバック」が1位でした。6位に「能力開発の意欲に応じて研修受講が可能な環境づくり」があることも見逃せません。能力を伸ばしたいという意欲を持ちながら、自身の努力というだけでなく会社にも期待していることが見て取れます。
4)抵抗がある業務は、『指示が曖昧なまま作業を進めること』
次に、仕事をしていく上での抵抗感について尋ねた調査をご紹介します。
出典:2022年度「新入社員意識調査」(一般社団法人日本能率協会)
仕事をするうえで抵抗があることは、「上司や先輩からの指示があいまいでも質問しないでとりあえず作業を進める」が、「抵抗がある」+「どちらかと言えば抵抗がある」の回答を合わせると、82.7%となり、8割以上が「抵抗がある」と感じるようです。また、電話をかけることも苦手意識が高いようです。
Z世代の新入社員を上手に育てるために心掛けること
1)今の新入社員は、『Z世代』!今さら聞けない『Z世代』とは?
Z世代とは、概ね1990年代中盤から2000年代終盤、または2010年代序盤までに生まれた世代のことです。生まれながらにして、学生時代からインターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきた『デジタルネイティブ』である世代でもあります。
元々は、アメリカから伝わった世代分類を指す言葉で、最初に1960年代中盤~1980年頃生まれが『X世代』と名付けられたことに始まり、1980年頃~1990年代中盤生まれを『Y世代』と呼び、その次に、生まれた世代をアルファベットの並びで『Z世代』と呼ぶようになりました。
2)Z世代の特徴
Z世代の特徴をまとめます。
- デジタルネイティブ
生まれた時点でインターネットがあり、育ってきた環境でもスマホを日常的に使いこなし、情報はSNSで入手するのが当たり前の世代です。SNSでのコミュニティ形成を重視する特徴があります。 - 物欲より、無形の経験に価値を置く
モノ(商品)よりも、コト(サービスや経験)で得られる娯楽や経験に価値を見いだす傾向があります。日本のバブル崩壊後に生まれた世代ということもあってか、それまでの反動のようにモノを保有せず、消費する場合には効率やコストパフォーマンスを重視しています。 - 他者と争わない
競争心が薄い傾向にあり、他者との競争して勝つことよりも、自己実現や社会貢献に対する欲求が高いという特徴もあります。
3)Z世代の新入社員に合わせた教育方法:3つのポイント
①デジタル教育
生まれながらにして、デジタルネイティブなZ世代。スマホで、情報収集、友人や家族とのコミュニケーション、ゲーム、健康管理、お金の管理、音楽、買い物など、ほとんどのことを賄っています。本や漫画でさえ、紙ではなくオンラインサービスで購読しています。
そんな世代だからこそ、知識の教育は、スマホを利用するのがベスト。スマホでいつでも、どこでも見られるようにコンテンツ(動画やマニュアル)を準備して、見られるようにすることで、これまでのライフスタイルを変えることなく、環境を変えることなく、新しい知識を習得させやすくなります。
②反復教育
デジタルで勉強する場合に、懸念されるのが記憶力の問題。デジタル機器を使った勉強は、紙とペンを使った勉強に比べて記憶が定着しにくいという弱点は、周知の事実です。しかし、効率を優先するZ世代。さらに、これまでの学生生活で、既に板書を写メして学習するというスタイルも許されている中、今更、それを元に戻すのも難しいこと。逆にストレスを生む原因となるかもしれません。
しかし、反復教育は、記憶力を高めます。1回聞いたり教えられただけでは覚えられなくても、例えば、動画を見ながら何度でも学習できる環境を整えることができれば、人間は、学習できます。さらに、同じことを何度も勉強できれば、正確に覚えることもできるので、先の調査における仕事の不安に繋がる「曖昧な状態」や、人によって言うことが違うという事態を防ぐことができます。
③メンターとして接する
直接、新入社員の指導や教育をしていると、本来の業務に加えた教育となることも多く、教える立場としては、詰め込み教育になりがちです。本来なら、分からないことは聞いてほしいところですが、新入社員からすると、「分かった気がする」という状態で質問が生まれず、掴みどころが不明確にもなりがち。そんな状態で、教育を続けていくと、だんだん「質問しづらい」「聞いていいのか分からない」という悪循環の中、一応、教育は終えたけれども人間関係は育っておらず、気付いたら「やっていける自信が無くなった」「この仕事は、合わない気がする」ということで、新入社員が離職するということも少なくありません。
教える側としても、教えたのに「聞いてない。」と言われる。「やっておいて」と言ったことが未完成だったとき、「分からなかったので、できませんでした。」と言われ、「なぜ質問してこない!」と、イライラが募ることもあるかもしれません。
ところが、Z世代の新入社員は、悪気は一切ないのです。本当に「分からなかった」「聞いていなかった」と、単純に思っているのです。さらに、社会に出たばかりということに加え、インターネットゲームやSNSの普及で「個」で過ごす時間が多い人生を歩んできていることが多いため、リアルなコミュニケーションの取り方が分からない人も多いのが特徴。
そうでなくとも、誰でも最初は身に着けるのに時間が掛かるものです。競争心の無いZ世代なら、なおさら、誰かの邪魔をしてでも知識を得たい!という気持ちは無いでしょう。こちら側から、丁寧なヒアリングをする必要があるのです。そんなときは、指導者ではなく、メンターとして、助言やアドバイスができるような立場を作っておくと良いでしょう。
動画で研修プログラムを作っておくと、動画で勉強してもらった後、学習した内容について、「分からないことは無かった?」「〇〇について、説明できる?」と、先輩から質問や確認をすることで、メンターやアドバイザーとしての意識付けをすることができます。
Z世代の特徴を知ったうえで、それに合わせた教育をすることでお互いのストレスを軽減して上手に人を育てることができますよ。永く働ける社内教育制度を整えましょう。